日本臨床睡眠医学会
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Mary A Carskadon教授のMeet the Professorに参加して

2010 年 10 月 4 日

 2010年9月3日、東京の学術総合センターにて第2回ISMSJ学術集会のプログラムの一つとして「Meet the Professor」が開催されました。今回のゲストは、生理的な眠気の測定方法であるMultiple Sleep Latency Test(MSLT)の開発者として有名なBrown大学のMary A. Carskadon教授でした。座長は、河合真先生(テキサス州ヒューストン メソジスト病院)が務め、わたしは会場の補佐役として今回参加させて頂きました。前回、神戸で本学会が開催された時、わたしは演題発表を行ないましたが、この「Meet the Professor」への参加は今回が初めてでした。なので、どのような形式で、どのような雰囲気なのか、皆目検討もつかず、多少、緊張した面持ちで会場に入って行ったことを覚えています。聞けば、座長の河合先生も今回の座長を務めるのは初めてで、わたしも初参加で会場係、この企画も始まって2回目と、本当に手探り状態の中で会は始まりました。しかし、それが功を奏したのかもしれません。

 いわゆる日本的な講演であれば、「ダレダレ先生は、ドコドコ大学を卒業し、ホニャララで学位をとられ、現在、ドコドコに所属して、ホニャララの研究を精力的になされております。」といったお決まりの口上がなされ、質問の時間になると、私のような若い者が質問するには、いささか畏まり過ぎていて、聞きたいことはあっても手をあげて発言することがなんとなく憚れる、多かれ少なかれ、そういった雰囲気が漂っているものです。しかし、今回の企画は、産声を上げて、まだ間もないということと、比較的、若い年代が集まり、20名程度の少人数で行われたことから、会場係をしていたわたしの心とは裏腹に、終始、和やかな雰囲気で会が進みました。今回の企画が盛況に終わったのは、わたしのような英語の苦手な者でも日本語で質問できるよう、その場で通訳して下さった河合先生をはじめ、今回の学会長を務めた神山潤先生(東京ベイ・浦安市川医療センター)やスタッフの皆様のご尽力によるところが大きいと思います。会の最後には、Carskadon教授より、Brown大学の付箋が参加者一人一人にプレゼントされて、会は幕を閉じました。

 最後に次のことを記して筆を置きたいと思います。この企画は、第一線で活躍する研究者がどういう経緯を経て、今の道を志し、現在に至るのかという、学術論文などを読んだだけでは語られない裏話が聞けるところにユニークさがあると思います。たとえば、Carskadon教授の師匠であるStanford 大学のWilliam C. Dement教授との逸話が印象深く心に残りました。Dement教授は睡眠学の大家で、その名を知らない人はいないというぐらいの有名人で、わたしが大学生の時には、Dement教授の著書を何度も読んで勉強していました。しかし、その高名なDement教授の人となりは、水鉄砲をもってスタッフと戯れるようなとてもユニークな面もあわせ持つ先生だったとの逸話が聞けました。それを受け、第一線で活躍するには、「よく遊び、よく学べ」といったワークライフバランスこそが大切なのだろうとわたしは感じ取りました。が、わたしの場合、「よく遊び、よく遊べ」にならないよう気をつけたいと思います(笑)。次回のISMSJは、神戸で2011年8月26日から28日に開催されます。次はどんな先生が来るのでしょうか。楽しみです。

(労働安全衛生総合研究所 久保智英 記)

9月3日(金) プログラム
17:20~18:20 Meet the Professor
Prof. Mary A. Carskadon (Brown University, USA)