日本臨床睡眠医学会
~日本に境界なき睡眠医学を創る集い~

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ご挨拶

代表挨拶(任意団体 2008-2014)

理事長挨拶(一般社団法人2014-)

2025年10月11日に開催されました総会において、役員改選に伴い理事および監事の選任が承認され、新たな理事会が発足いたしました。このたび、一般社団法人日本睡眠医学会(ISMSJ)の理事長を拝命いたしました。微力ではございますが、本学会のさらなる発展のために尽力してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

初代理事長の立花直子先生、そして第二代理事長の堀有行先生は、それぞれのご専門とご経験を活かし、睡眠医療の重要性を広く社会に発信されるとともに、学会の基盤を築いてこられました。お二人のご尽力に深く敬意を表し、その志を引き継ぎ、さらに発展させていくことが私の使命であると感じております。

現在、我が国においては、睡眠医療を専門的に学ぶ機会が限られており、医学部・歯学部をはじめとする教育機関においても体系的な教育体制の整備が急務です。また、「睡眠」を冠する診療科名の標榜に関する制度的な議論も進められている段階にあります。しかしながら、診療科名の制度化が直ちに睡眠医療の質やアクセスを保証するものではなく、その中身――すなわち、どのような医療が提供され、どのような専門性が担保されるのか――こそが問われるべきであると考えています。

だからこそ、ISMSJの果たすべき役割はますます重要です。私たちは、現場からの実践的な教育と啓発を通じて、真に患者さんとご家族のニーズに応える睡眠医療のあり方を提示していく必要があります。

今後取り組むべき課題の一つは、睡眠医療に携わる多職種の医療人が、現場で直面する複雑な症例に対応できるよう、エビデンスに基づいた知識と、実践に裏打ちされた判断力を兼ね備えた人材を育成することです。睡眠医療は、医師や歯科医師のみならず、看護師、臨床検査技師、心理職、福祉職など多様な専門職の協働によって成り立っています。したがって、教育においても、単なる知識の伝達にとどまらず、多職種が連携して患者さんの背景や生活環境を理解し、置かれる立場や環境に応じて最適な医療を構築するプロセスを生み出せる能力を高めることが求められます。

また、睡眠の重要性に関する啓発は、医療現場にとどまらず、教育現場や地域社会、企業など広範な領域に広げていく必要があります。子どもたちの健やかな成長、働く世代の生産性と健康、そして高齢者の生活の質の向上において、睡眠は極めて重要な要素です。ISMSJは、科学的根拠に基づいた情報を発信し、社会全体の睡眠リテラシー向上に努めてまいります。

この学会は、皆さんで作り上げ、成長してきた学会です。私たちのMissionである、睡眠医学のinfrastructure作りと睡眠のチーム医療推進に向けて、皆様のご意見・ご提案を心よりお待ちしております。

第三代理事長 加藤 隆史