日本臨床睡眠医学会
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「第11回ISMSJ学術集会」レポート

2020 年 4 月 1 日

 

 
                                第11回ISMSJ学術集会組織委員長
                               公立陶生病院脳神経内科 小栗卓也




 2019年10月11日(金)、12日日の2日間にわたり、第11回ISMSJ学術集会を名古屋で開催いたしました。会期中は荒天にも関わらず185名もの方々にご参加いただき、何とか無事終了いたしました。会員の皆さまにおかれましては,多大なご心配をおかけしたかと存じます。今回の経験を今後に活かしていく意味もこめて、第11回学術集会を主催者目線で総括してみたいと思います。


≪≪準備段階≫≫
 まず学術集会のテーマを決定し、どのような志向の学術集会にしていくかを考えるのが組織委員長としての最初の仕事です。 そして今回は「脳をみる睡眠医学 社会をみとおす睡眠医学」をテーマとしました。 これは日常臨床で睡眠の問題を抱える患者さんをひとりひとり診ていくとき、脳の中で何が起きているか?ということを科学的に推察するのと同時に、取り巻く社会がどう影響したか?という別の側面も意識して接しないと、問題の本質に近づくことができないと日々感じていたからです。 今回は我儘ながら私自身が改めて学びたいと思う「脳と社会の視点」について、教育的なプログラムを多く盛り込むことにしました。 ほか今回の一般ポスター演題では、トーキングポスター発表を行わないこととしました。 今回はコンパクトな会場を活かし、休憩時間に自然にポスター周囲でディスカッションができるようなレイアウトとし、空いた時間帯に他の教育プログラムを予定したのが主な理由です。 しかし結果的に第2日目のポスターセッションがフリーディスカッションとなりましたので、是非について評価できない状況となりました。演題応募については例年より少なく33演題に留まりました。応募が減ってしまった理由は不明ですが、事前に本会/学術集会HPやメール等にてもう少し演題応募期間の周知を徹底する必要があったのではと思います。 ほかお気づきになられたかもしれませんが、今回よりはじめて本会担当とは別の企業に運営支援をいただきました。これは会場のウインクあいちで開催実績豊富な地元の企業にお願いすることで、より準備や運営を円滑に行う目的がありました。 この変更で組織委員会の初動が例年より3ヶ月ほど遅くなりましたが、理事・組織委員のみなさまのご協力でほどなく遅れを取り戻せたほか、結果的に台風の影響を受けた今回の学術集会では大きな助けとなりました。


≪≪第1日目≫≫
 この日は天候もよく、午前から多くの参加者にお越しいただきました。初日から教育的かつ実地的な内容のプログラムを組み入れたほか、「睡眠時間シンポ」では演者・参加者まで最後まで熱い議論が交わされ、大変密度の濃い1日でした。 組織委員長講演は初めて冒頭に行いましたが、今回の学術集会のイントロとして発表させていただきました。 一方翌日の台風の影響が徐々に判明し、特に新幹線が終日運休に決まったことで、事務局では予定変更に追われていました。 開催中止も含めあらゆる選択肢を考えましたが、会場が名古屋駅前で地下街直結であることや、宿泊される参加者もほぼ会場周囲に滞在されていたことから、規模や時間を大幅縮小しての開催を決めました.一般ポスター演題は翌日までに貼付してあれば発表したこととする特別対応をとったうえで、特に関東方面からお越しで第2日目の宿泊が決まっていない方々には、第1日目終了後のご帰宅も考慮いただくようアナウンスしました。 懇親会では、やや人数は少なめとなりましたが、毎年のごとく賑やかに交流ができました。 最後には特別講演のŠonka先生を交えSleep/Wake集合写真を撮影しました。


≪≪第2日目≫≫
 この日は台風19号が夕方から名古屋付近に接近する予報でした。実際に会場付近では風雨は強まったものの、外を歩けなくなるほどではなく、前日に予定変更したとおり規模縮小して開催しました。 プログラムではシンポジウムの演者が一部変更・キャンセルとなったほか、共催セミナーのひとつが中止となりました。 また昼以降のプログラムを前倒して開催した上で、ポスターセッションを30分間のフリーディスカッションとし、予定より3時間近くはやめて終了いたしました。 いずれのセッションも少なめの人数でしたが、その分参加者間の距離感が近く、活きた議論がされていたと思います。 特別講演はチェコ共和国カレル大学のKarel Šonka先生に特発性過眠症の臨床研究のレビューをお願いしましたが、過去から現在までのこの疾患概念の変遷について大変わかりやすく講演いただきました。 ポスターのフリーディスカッションでは、前日より随所で自発的に議論が行われていたのが印象的でしたが、最後を流れ解散としたこともあり、やや閑散とさせてしまったのが反省点でした。


≪≪終了後≫≫
 終了後は今回ご参加いただいた方が学術集会に関連し直接台風被害に遭われたとの報告はなく、まずは安堵しております。 一方で大雨や水害の恐れにより参加できなかった方や、自宅や職場の周囲で大きな被害が生じた方もおられ、お見舞い申し上げたいと思います。 なお特別講演を楽しみにしていたが聴けなかったとの声も多数寄せられましたので、Šonka先生のご厚意で講演スライドを本会ホームページ上に公開しています。


 改めまして、会員の皆さまならびに理事・組織委員・共催/出展企業・運営支援企業の皆さまにおかれましては、大幅な予定変更にもかかわらずご理解とご協力を賜り、この場を借りて感謝申し上げます。 組織委員長としては、今回の志向に沿ったISMSJらしい熱い議論ができたと思います。 引き続きISMSJのミッションである世界に通じる睡眠医学の確立に向け、ご支援とご協力をお願い申し上げます。




第11回ISMSJ 学術集会レポート





   

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