「第3回ISMSJ学術集会」レポート
2011 年 9 月 21 日
不眠を始めとする睡眠障害は、人口の半分が経験し、そのうちの10-15%が深刻な問題と捉えているcommon disease であるが、学生時代を振り返って見ると、恥ずかしいことにこのcommon disease について勉強した記憶がない(睡眠生理を少し学んだぐらい)。
睡眠は一日の1/3を占めるものであるから、これが障害されていることは、大きな問題として捉えられるべきだと思うが、今までは(今も?) 等閑にされてきた。例えば日中の眠気を一例にとってみると、「社会人たる者昼間眠たくても我慢するのが当たり前」といった風潮がまかり通っている。かくいう私も医師になり、担当入院患者さんの不眠の問題を考えるまで、上記のように考えていた。不眠について深く考えたこと、勉強したことがないため、対応に苦慮する。入眠型なら短時間作用型の睡眠薬、 中途覚醒なら中~長時間作用型の睡眠薬を、“とりあえず”処方していた。
当然、これでは対応できない患者さんも出てくる。私のような経験をした(している)医師は多いのではないだろうか。
このような自分の睡眠医学に対する知識の貧しさを何とかしたいと思い、第3回ISMSJ学術集会に参加した。
学術集会は3日間開催され、この3日間で①臨床:睡眠関連疾患、 睡眠関連疾患と他科疾患との関連、②生理学:睡眠生理学やPSG、 ③第一線で活躍する睡眠医学専門医の歩みといった、臨床、基礎、そしてキャリアプランを網羅的に学び、知ることができる非常に密度の濃いものであった。加えて、第一線で活躍している先生方に気軽に話せる雰囲気もあり、よくある堅苦しい学会とは一線を画くものであった。
①臨床に関しては、循環器疾患やてんかんと睡眠関連疾患との関連、 眠気や不眠診療、 そして、眠気の強い患者への運転継続についてなど、一般内科医が知りたいことが学べた。3日目に行われたサテライトセミナーでは、睡眠障害を訴える患者に対するアプローチをチュートリアル形式(小グループに分かれ、各々のグループに睡眠医学を専門にするチューターがつく)で学べ、実践にすぐに役立つものであった。
②生理学に関しては、睡眠の中枢, 睡眠と内因性物質, 睡眠ステージと脳波変化から始まり、PSGから得られたデータの解釈を学べた。まったくの初心者が、睡眠医学に興味を持ち、関わろうとするにはよい取っ掛りになったのではないだろうか。
③睡眠医学に興味を持っている医師にとって第一線で活躍している先生の経歴を知ることは、自分のキャリアプランを立てる上で非常に有用であった。
ISMSJ学術集会へ初めて参加でしたが、第4回学術集会も是非参加したいと思うものであった。
(関西電力病院 神経内科 谷岡 洸介 記)