日本臨床睡眠医学会
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「第5回ISMSJ学術集会」レポート

2013 年 9 月 12 日

 5回目のISMSJ学術集会は、真夏の最中8月の1日〜3日まで行われました。
 
 今回の学術集会で最も印象に残ったプログラムは『睡眠診療に必要なアイテムについて学ぼう〜Sleep wake logや質問紙の超活用術〜』ワークショップでした。ホームページからsleep wake logをダウンロードし、自分の睡眠を記録してくるという事前学習がありました。医療従事者、それもPSG検査を主な業務とし、睡眠に深く関係しているにもかかわらず、自分の睡眠をかえりみることもあまりなかったので自分の睡眠を客観的に考える良い機会にもなりました。会場では座席を大きく4グループにわけ、それぞれのグループにファシリテータの先生方がついて下さり1ヶ月分の実際のSleep wake logを見て何がわかるかをグループ内で話し合いました。

① 睡眠薬を飲んでいるものの、寝つきにかかる時間はまちまち。中途覚醒が多く睡眠は分断されています。1日の行動、活動内容欄にびっちりと細かい字でメモがされており、小さな事が気になる、細かい性格なのでしょうか?朝、起きてからも布団で過ごす時間が長いようです。

② 朝、起きられないのが困っているとのこと。最初の1ヶ月目は、寝る時間は毎日同じ、平日は起きる時間も一定。土日は起きる時間が少し遅くなります。その翌月はアクチグラフを付けて、睡眠日誌を書いてもらったそうで、そうすると、先月あれだけそろっていた入眠時間が実はバラバラで本当の睡眠時間とはズレているものだったことが判明しました。

③ 昼間の眠気に困っている主婦の方。仕事をもっていて家事との両立で大変。家事をすべて終えて0時ころに寝て、2時半に夫のためにお弁当を作ってまた寝るとのこと。そんな生活していたら、眠たいのは当たり前のような気はしますが、家事も仕事も完璧にこなさないと気が済まない完璧主義者なのでしょうか?眠いといいつつも朝6時には起きて8時20分の出勤時間までのんびりしている時間があります。もう少し遅い時間に起きてみるのはどうでしょうか?でもその時間は唯一その方のほっとできる時間なのでその時間はきちんと確保し、そこの部分については指導しないとのことでした。

④ 交替勤務の方。朝8時から夜20時までで5日間働き、2日間休み。夜20時から朝8時まで働き2日休みの繰り返し。夜間勤務中に眠くなってしまうとのこと。最後に高橋正也先生から労働衛生の観点からのコメントがあり、この交替勤務の時間の組み方で働くというのは難しいと言われていました。

 
 実際はもっと白熱していましたが、そんなこんなの議論の繰り返しであっという間に1時間半が過ぎてしまいました。Sleep wake logひとつでここまでわかるし、ただ記録をつけておくだけなので侵襲性もなくお金もかからない。必要なものは紙とペンだけ。最強のツールである一方、患者さんによっては書かれた内容を鵜呑みにすると間違った理解をしてしまい全く異なる結果の解釈になってしまう、奥の深いツールであるとも思いました。いかにこのツールを使って患者さんの抱えている悩みや間違った認知を引き出すか。Sleep wake logについてここまで深く学べるこのようなワークショップは今まで参加したことはなく、とても新鮮でした。

 

 
 2日目の最後には懇親会にも参加させていただきました。今年はみなと神戸花火大会と日程が重なり、懇親会会場からは花火を堪能することができました。集合写真は恒例のsleepバージョン。アットホームな雰囲気で先生方とも会話しやすく、医師とコメディカルの距離がとても近いのも、ISMSJの特徴ではないでしょうか?同じフィールドの中の方々と情報交換することは、良い刺激になりモチベーションも上がりました。ISMSJは日本臨床睡眠医学会というだけあり、臨床を診ている先生方が教えて下さいますので、より臨床に則した学会で次の日から使える知識を身につけることができるのではないかと思います。私の勤務先の病院では勤務体制が変わり、患者さんと接する時間が以前より格段に増えましたので早速身につけたものを生かしていこうと思いました。

     (中東遠総合医療センター 診療技術部検査室 赤堀 真富果 記)

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