「第7回ISMSJ学術集会」第1日目(2015/7/31) レポート
2015 年 9 月 30 日
第7回ISMSJ 学術集会は、「睡眠から脳機能を探る」をテーマに7/31-8/2まで真夏の大阪で行われました。
立花先生の開会宣言から始まり、「眠い」の基礎・睡眠の診療技法と題して河合真先生の教育プログラム1と続きました。私も「RECOMMENDED SLEEP」の表を頂きましたが、年齢別に脳と身体が本来必要としている睡眠時間と、現在日本人の多くが実際にとっている睡眠時間の差は大きいものです。「必要な睡眠時間は人それぞれ違うから短時間睡眠でも大丈夫な人もいると患者に説明するのは本質的には誤りで、不眠の方への優しい嘘である」とのお話は衝撃を受けました。また眠気の検査法に対する厳しくも的確なお話はその後ランチョンセミナーでお話し頂いた井上雄一先生も大変印象に残ったようでセミナー内で何度も言及されていました。
教育プログラム2、新薬の承認審査ですが、毎年この新薬の社会背景を取り扱ったプログラムは大変興味深く他では聞けないお話ばかりです。医師が患者にとって最適であると考え処方している薬がどういう手順で厚労省の保険承認審査を通過し病院までたどり着くか分かり易く説明頂きました。
ワークショップでは、1)小児のPSG、2)COPD とOSASを合併するOverlap syndrome3)抗うつ薬のSSRIが睡眠に及ぼす影響について10分ずつの濃厚な講義の後、医師向きの症例検討会と技師向きの脳波計を用いた演習の二つに分かれました。
初日最後はAutoimmune disorders and sleep についてAlex Iranzo先生にお話し頂きました。私個人は今回このセミナーが最も印象に残っています。内科医でもともと自己免疫疾患を専門としていたため、全身炎症が脳、脊髄、髄膜に波及する症例は経験するところですが、ステロイドが著効する症例と無効例は何が異なるのか今も疑問に残っています。視床下部に起こった脳炎後の二次性ナルコレプシーは睡眠医療に取り組んでいる現在、少数ながら経験するようになり実臨床に直ぐ役立つ知識を得ることが出来ました。
私は今回初めてワークショップで発表する機会を頂き、曖昧になっていた知識が自分自身明確に整理する事ができ、今後の勉強方針も少し見えた気がします。第3回学術集会から参加していますが、毎回睡眠医療とそれを取り巻く社会について幅広い演題と話題性のあるゲストスピーカーの講演を楽しみに伺っています。2016年の開催予定も手帳に書き込み、第8回を楽しみにしています。
(九州大学病院睡眠時無呼吸センター 半田早希子 記)