日本臨床睡眠医学会
~日本に境界なき睡眠医学を創る集い~

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組織委員長挨拶

2009 年 6 月 4 日

長年にわたって睡眠は、じっとして何も生産活動をしない無駄な部分として無視され、切り捨てられる傾向にありました。医学の歴史の中でも、Sleep Medicine(睡眠医学)が独立した一領域として認識されるようになったのは、ごく最近のことであり、それも米国においてしか成立していません。米国以外の国でなかなか認められない最大の障壁は、睡眠は脳の機能の一つであるとともに、あらゆる生体機能とつながりあっているため、既存の医学の専門領域を超える形でしか存在しえないことです。

どの世界、どの社会にも人々が所属する集団があり、その集団から少し出てみて、他の集団と交わってみることは、簡単そうに見えて実は難しいことです。米国で最初にSleep Medicineが成立した背景には、人種も民族も出自も違う人々が、お互いの文化や価値観をある程度認めあいながら、国の形がつくられていった歴史が大きく関係しています。

学術集会には、いろいろな目的があります。新しい知識や情報を得る、研究成果を発表しフィードバックをかけてもらってまた次の研究の糧にする、日頃の臨床活動をまとめ、同様のことを実践している人からアドバイスをもらい、いっしょになって考えるなど、参加する人によって少しずつ違っていることでしょう。そのすべてを満足させるものになるかどうかは、主催者の努力とともに、参加者が積極的に関与し交流しあうという姿勢にかかっています。

今回の学術集会では、人と人とを結びつけるしかけをあちこちにちりばめていますので、友だちをつくることを第一目的としてやってきて下さい。隣にいる人の睡眠へのかかわりは、あなたのとはかなり違うかもしれません。講師の話は、あなたの毎日の臨床や研究とは直接関係ないかもしれません。それでもこの神戸の地へやってきたということは、「睡眠」という大きいテーマでつながっているのです。そうやって知り合った人々と学術集会が終わってからも連絡が取り合えるようになったら、それはとても幸せなことなのではないでしょうか?

そういう小さなことが少しでも生まれることが、今回の学術集会の意味であり、Integrated Sleep Medicineへの道につながっていくことでしょう。

             第1回ISMSJ学術集会 組織委員長
立花 直子